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会長声明・決議・意見書(2015年度)

性的少数者への差別発言を許さない会長声明

2016年02月12日更新

2015年11月29日,神奈川県海老名市議会の議員が,同性愛者について「生物の根底を変える異常動物だ」などと性的少数者に対する差別発言を繰り返しツィートした。これにとどまらず近時,上記のような公人による性的少数者への差別発言が度々報道される状況にある。

しかし,個人の性的指向や性自認は,人の生き方そのものに関わるものであり,個人の尊厳の根幹部分である。個人の尊重と幸福追求権を規定した憲法13条のもと,個人がいかなる性的指向や性自認をもつかについては,たとえ少数者であっても公権力による干渉をうけることなく自由に決定できることが保障されるべきである。また,法の下の平等を定めた憲法14条のもと,いかなる性的指向や性自認を有していようと,差別されることは許されない。

とりわけ,地方議会議員など公権力をもつ公職にあるものの発言は,社会に与える影響力は大きく,一方で,対象となる少数者の受ける屈辱感,不安感は著しいものがある。

たしかに,こうした発言も表現行為である以上,憲法21条1項の定める表現の自由による保障が及んでいるとも言えるかもしれない。しかし,同条項も絶対無制約な自由を保障したものではなく,他者の人権との調整の見地から一定の内在的制約を受ける。本件のように,ことさら少数者を侮蔑して個人の尊厳を傷つけ,差別意識を助長する発言が,内在的制約を受けることは明らかである。

当会は,人びとが,個人の性的指向や性自認を,いわれのない偏見に基づいて不当に侵害されることなく自由に決定でき,かつ,性的少数者であるが故に不当な差別を受けることのないことを強く求める。権力の担い手である公人は,憲法の保障する少数者の人権保障及び平等原則の理念を遵守し,少数者を侮辱したり,差別を助長するような言動をしてはならない。

 

2016(平成28)年2月10日

横浜弁護士会     

 会長 竹森 裕子 

 

 
 
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