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会長声明・決議・意見書(2019年度)

令和元年台風19号による川崎市の浸水被害に関し、 検証委員会の第三者性をより一層確保する方策を求める要望

2020年03月06日更新

 2019年10月12日から13日にかけて日本列島を襲った台風19号は、神奈川県内に大きな被害をもたらした。川崎市においては、多摩川の水が水門から排水管を逆流したこと、多摩川に流れ込む支流の合流部分周辺での越水、また多摩川河口にある河港水門の上部から越水したことにより、周辺の広い地域に浸水被害をもたらし、住民の命まで奪われた。

 

 当会としてはまずは亡くなられた住民にお悔みを述べると伴に、被災された住民にお見舞いを申し上げる。川崎市に対しては、被災住民に対する最大の支援をお願いするものである。

 

 ところで、今後、このような浸水被害が起こらないようにするためには、今回の浸水被害の徹底した原因究明が必要である。川崎市は、浸水被害の原因及び浸水被害を最小化する方策等について適正な検証を行うために、2019年12月26日に「令和元年台風19号による排水樋管周辺地域及び河川関係の浸水に関する検証委員会」を設置し、同委員会は本年2月13日に、中間とりまとめを発表した。これによると、排水樋管周辺の地域の浸水に関する検証結果として、各排水樋管のゲート操作については概ね操作手順どおりに行われていたとし、継続的検討項目として、ゲートの操作の妥当性について操作手順を含め、浸水シミュレーションを活用し、さらに検証を深める、としている。

 

 しかしながら、上記のとりまとめは、ゲート操作手順を前提とし、排水樋管のゲート操作が概ね操作手順どおりに行われたという結論にとどまっており、台風19号の状況において行われたゲート操作が妥当であったかどうか、という真の原因究明には至っていない。また継続的検討として、ゲートの操作の妥当性について、操作手順を含め、浸水シミュレーションを活用し、検証を深めるとしているが、この検証委員会は同市の副市長以下、同市の職員によって構成されており、第三者性が確保されていない点で問題がある。

 

 そこで、真の原因究明及び再発防止のためにも、第三者検証委員会を改めて設置するか、検証委員会に中立的第三者を追加選任する等、第三者性をより一層確保する方策を検討するよう求めるものである。

 

2020年3月5日
神奈川県弁護士会
会長 伊藤 信吾

 

 
 
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