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会長声明・決議・意見書(2020年度)

全国の金融機関が自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの新型コロナウイルス感染症の特則を周知徹底し,遵守することを求める会長談話

2020年12月17日更新

新型コロナウイルス感染症の拡大により,国民は生活様式の変容を迫られるばかりでなく,経済的には,リーマンショックを上回る景気後退により,失業や収入の減少など深刻な影響を受けている。今後,多くの国民が,住宅ローンや奨学金,カードローンなど債務の返済に窮する事態に陥る可能性が大きい。

このような社会情勢を受けて,一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関は,新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人債務者の債務整理に関する,金融機関等関係団体の自主的自律的な準則として「『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則」を取りまとめた(適用開始日:2020年12月1日。以下「被災ローン減免制度」とする。)。

この被災ローン減免制度は,自然災害が発生した場合に一定の条件のもとで債務を減免すること,自己破産や個人再生手続と異なり,信用情報機関に登録されないため,将来,再び住宅ローンを組むことができることなど,自然災害などやむを得ない理由で経済的基盤を失った方の生活再建を手助けとなる制度である。

被災ローン減免制度は,このようなメリットがある反面,法的強制力を有しない手続きであるため,十分な運用を実現するには,債権者である金融機関の協力が必要であり,そのためにはまず金融機関等の担当者に被災ローン減免制度の正確な知識が周知徹底されている必要がある。

本日,当会において,財務省関東財務局横浜財務事務所の協力のもとに「被災ローン減免制度」の研修会を開催したところ,十を超える県内の銀行・信用金庫に参加をしていただいた。参加していただいた銀行・金融機関には改めて感謝申し上げる。

一方,12月1日の適用日以降,当会所属の弁護士を含めた全国の弁護士に対し,被災ローン減免制度の対象債権者であるにも関わらず,現場の担当者が制度自体を把握しておらず,利用する上で必要な情報を得ることが出来なかったり,利用要件が認められる可能性がある事案にも関わらず,被災ローン減免制度の開始に必要な着手同意に応じない,さらには協力を拒まれたといった相談が寄せられている。

上記のとおり,被災ローン減免制度は,債務者の生活再建のためのものであり,債務者を支援する登録支援専門家及び債権者である金融機関等が協力して運用を行っていく必要がある。そこで,当会は,全国の金融機関等に対し,被災ローン減免制度及び新型コロナウイルス感染症に対する特則について,担当者等に周知徹底すること,及び同制度を遵守することを求めるものである。

以上

 

2020年12月17日

神奈川県弁護士会

会長 剱持 京助

 

 
 
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